2023.12.01 お知らせ, 四季養生
プロフェッショナル養生訓 分子栄養学の達人 大野 真理先生②
各分野のプロフェッショナルにインタビューをした季刊誌・四季養生の
『プロフェッショナル養生訓』です。
今回のプロフェッショナルは分子栄養学の達人 大野先生の第2回目です!
Healty and Happiness(ヘルシーアンドハピネス) 代表
大野 真理先生
テーマ『正しいダイエット』
過度なカロリーや糖質の制限は避ける
世にあふれたダイエット清報の中には、ある特定のものだけを摂る、長時間
食べない、カロリーを制限しすぎるなどの極端な情報がありますが、ダイエ
ット方法は人によって合う合わないがあります。健康を維持するためにはバ
ランスの良い栄養摂取が最も大切です。極端で、体に負担をかけすぎるダイ
エット方法はおすすめできません。セカンドミール効果って言葉をご存知で
すか?これは今の食事の影響が次の食事で出るというものです。例えば朝食を
抜くと、昼食で体はやっと糖分が来たと判断し、一気に吸収して血糖値が突
然急上昇してしまいます。さらに余った糖分は中性脂肪となります。これは、
体が飢餓を感じ、エネルギーを溜め込もうとする、人間が持っ防衛反応です。
血糖値が急に上下する食事の摂り方は避け、なるべく血糖値を一定に保つ食
事を意識してください。経験があるかもしれませんが、極端な糖質制限や長
時間食べずにカロリー制限するダイエット法は大抵リバウンドしてしまいます。
これは必要な栄養が摂取できず、基礎代謝が落ちて、かえって太りやすい体に
してしまっているからなのです。
糖新生とは?
人は糖分がないと生きていけません。低血糖状態が続くと、肝臓で「糖新生」
が行われます。糖分が不足すると筋肉を壊し、必要な糖分を造り出します。
これは主に夜間に行われます。この時交感神経優位となりますから、夜間、
低血糖を起こすと中途覚醒を起こします。夜中に何度も目が覚めて早く起き
過ぎる人は、肝機能が落ちているからという原因もあります。さらに、糖新
生が起こると、筋肉量が徐々に減っていき、代謝も落ち、太りやすい体に
なってしまいます。
失敗しない健康的ダイエットの秘訣
夜間、低血糖を起こしている方は朝からぐったりして、食欲が出ません。
失敗のないダイエットのためには、朝食は抜かずに果物だけでも食べましよう。
朝の果物はみかんやりんご、キウイやべリー類がおすすめです。バナナなら半
分くらい。ぐったり感がとれたらご飯とお味噌汁を基本とした食事をおすすめ
します。ご飯を朝昼晩きちんと摂れば、ドカ食いもなくなり、甘いものを食べ
過ぎることもなくなります。また、食間に少量のおやつもおすすめです。糖分
や栄養分が過度に不足すると常に食欲が収まらなくなり、逆に太ります。コン
スタントに食べ、栄養バランスさえ整っていれば、自然と代謝が上がり、脂肪
燃焼がすすみます。また、体が健康でメンタルも充実すれば、カロリーを必要
以上に欲しなくなり、自然と締まったボディになっていきます 理想的なダイエ
ット法とは、バランスよく栄養を摂り、健康的に痩せていくこと。肥満症は健
康維持に大敵です。分子栄養学的に言えば、肥満状態は細胞の炎症と捉えます。
細胞の中で炎症が起こると老化が進み、様々な病気に罹りやすくなります。
日本人は糖質過多になりがちの食生活になっていますが、極端で過度な糖質制
限はやめるべきですもちろん、精製された白砂糖や人工甘味料の類の摂りすぎ
は極力避けるべきですが、健康な体造りには炭水化物(糖分)は必要な栄養素で、
果物、蜂蜜などの自然な形の糖分は摂る必要があります。
食品記載の糖質ゼロ表記の危険
また、糖質ゼロと記載されている商品には人工甘味料が多く使用されている場
合があり、注意が必要です。特にアスパルテームという成分は脳腫瘍のリスクが
高いと言われますし、他の人工甘味料も糖尿病の罹患リスクがあり、腸内環境を
悪化させる原因となります。これらの危険性については多くの論文も出ています。
人工甘味料を多く使用している商品は意識して避けてください。腸内環境の悪化
は痩せにくい原因になります。もちろん甘味料の中には安全なものもあります。
例えばパラチノースは甜菜糖から作られており、蜂蜜のようにゆっくりと血糖値
を上げるのでおすすめしています。繰り返しますが、正しいダイェットには血糖
値を一定に保つことが大切です。肝機能や副腎を休ませるためにも、下記のよう
な少量の良質なおやつは食べてください。
大野先生おすすめ!
血糖値を一気に上げないためのおすすめおやつ
●無添加のだし&葛粉(出汁に葛を入れて飲むと糖質も摂れます)●蜂蜜●パラチノー
ス(蜂蜜のようにじわっと血糖値を上げる甘味料)●鶏ガラスープ●小さいおにぎり
●かぼちゃやジャガイモをマッシュしたもの●ナッツ●甘栗(3粒くらい)●いりこ
●りんごやキウイ、みかんなどの果物●プルーンやデーツ(砂糖漬けではないもの)
●干し芋●するめ●ゆで卵●焼き鳥●枝豆●味噌汁やスープ●ちくわ
※白砂糖の多く入ったものや油脂の多いものはおすすめしません。いずれもたく
さん食べると太りますから、食べるのは少量です。おやつはあくまでも血糖値維
持が目的です。
シニア世代に必要な栄養素を摂れば痩せる!
特に、シニア世代はたんばく質が不足しがちです。市販のプロティン商品は消化力
の問題があるので、少量から始める方がよいと思います。まずは食品から肉・魚・
卵 豆類といったたんばく質を毎食意識的に摂ってくださいもちろん、おやつでた
んばく質を補うのもおすすめです。加齢や老化により落ちてくる代謝を上げる栄
養素は、主にミネラルとビタミンB群です。ミネラルは、特に鉄、亜鉛、マグネシ
ウムです。これらは、赤身の肉やレバーに多く含まれています。また、海藻には
マグネシウムが多く含まれています。ビタミン 群は、豚肉などのお肉に多く含ま
れます。ですから、年齢を重ねるほど可能な範囲でお肉を食べることも心がけて
いただきたいのです。 群をしつかり摂れば、必要以上に甘いものを欲しません。
たとえば、ビタミン は糖分の代謝を行うため、エネルギーが造られ元気が出ます
から、体は糖分でエネルギー補給をする必要かなくなります。さらに重要なのは、
腸内環境の改善です。糖分好きな人は、腸内にカンジタという悪玉菌が増えます。
このカンジタ菌は糖分をエサとしています。なので、腸脳相関によって、もっと
食べたいと腸から脳へ司令を出します。皮膚の状態が悪い人や、便秘がち、下痢
がちの人はカンジタ菌が多く、甘いものが大好きな傾向ですから、意識して腸内
環境を整えてください。カンジタ菌を減らすには、まずは、白砂糖の多いお菓子
を控えるところから始めましょう。シニア世代のダイエットのポイントは、食べ
ずに痩せようとしないこと。基礎代謝を上げるためにたんばく質を意識して補い、
筋力をつけ、さらに必要な栄養素を摂りながら痩せていきましょう。
目指すべき理想の体型とは?
シニア世代の方は筋力を落とさないように気をつけてください 場合によっては
体重は増えてもかまいません。日本人は「がん」死が一番多いのですが、筋力
がなく、痩せすぎてがんになる人が実は多いのです。太っている人は体力があり、
がんになっても意外と耐えられます 日本人は筋力が落ち、痩せすぎている人ほど
健康上の問題が多いことを知ってください。体重を落とすことのみが正しいと
考えがちですが、私見ですが、体力のためにはもうちょっと筋力をつけて体重
あって いのでは?という人が多いです 女性はホルモンの関係でぼっちやりして
きますが、それは皮下脂肪がっきやすくなるのが原因です。多少体重が増えても、
筋肉をつけることがシニア世代の理想のボディ造りだと考えます
ダイエットの本来の意味
ダイエットする目的は、ただ体重を落とすのではなく、男性も女性も筋肉をつけ、
健康的なシルエットを目指しましよう。体重だけ考え、不健康に痩せる、つまり、
しぼむ痩せ方は健康的にも、見栄えもよくありません。丈夫で健康な体を造り、
筋肉をつけ、スムーズに動ける体を造ることが最も大切です。そのために、バラ
ンスよく、体に必要な栄養を摂る。シニアの正しいダイエットとは、食べないダ
イエット法ではなく、体に必要な栄養をしつかり摂り、自然とスリムになる、
正しく健康を考えた食生活から始めるダイエット法かべストなのです。
PROFILE
Healthy and Happiness
代表/分子栄養学カウンセラー
大野 真理先生
https://healthy-happiness.jp/