株式会社イオス

2023.06.03 四季養生

プロフェッショナル養生訓 健康運動指導の達人 今井 淳一先生②

各分野のプロフェッショナルにインタビューをした四季養生の
『プロフェッショナル養生訓』です。

今回のプロフェッショナルは健康運動指導の達人 今井先生の第2回目です!

NPO法人 cocofull(ココフル) 代表
今井 淳一先生

『認知症予防』

健康のためには脳機能の維持は欠かせません。近年では脳トレという言葉が一般的
になり、脳トレと言えばパズルやクイズをイメージされると思います。もちろんこ
れらも脳に良いのですが、さらに重要なことは、運動で脳が活性化するということ
です。そこで私たちは運動指導の中に脳を活性化するプログラムも加えて実践して
います。運動することで脳に酸素が送られ、脳が活発に働くため、運動は認知症予
に非常に良い結果をもたらすと言われています。

有酸素運動に何らかの条件を加える

脳に多くの酸素を送るので脳トレや、認知症予防に一番おすすめなのが有酸素運動
です。脳に酸素を送るということは脳に栄養を送ることでもあります。
また有酸素
運動に加えて、あと一つ何かを加えていくとさらに効果的です。私の教室でよく行
っているのは、一人で右手と左手でじゃんけんをしてもらいます。有酸素運動とし
て足踏みをしながら自分でじゃんけんしてもらい、右手が左手に勝ってくださいと
か、次は負けてくださいという風に条件を変えながら変化をつけて行います。この
ように有酸素運動にプラスアルファを加えることはより有効です。有酸素運動だけ
ではもったいないですし、認知症予防に限っては有酸素運動だけでは足りないと思
います。右手で勝って左手で負けるというのは一見簡単そうですが、続けてやって
みると意外と難しいものです。こうやって無理に脳を使わなければ自然と衰えてい
くようになっているのです。例えば、定年退職するまでは記憶力が良かったのに、
退職後から急激に記憶力が衰えたり、老け込むという話はよく聞きます。これも脳
を使わなくなり機能が低下したという事例です。好奇心というのは脳にとってカギ
になるもので、好奇心を失ったら認知症になりやすくなるとも言われています。
つまり常に脳を刺激することが非常に大切だということです。認知症対策は、運動
による刺激+知的な刺激
、これがとても重要なんですね。

外を歩きながら簡単にできる脳トレ法

また他にもおすすめしたい簡単脳トレの事例は、外を歩きながら車のナンバープレ
ートを見て計算するという遊びです。車のナンバー4桁の番号を足したり、引いた
り、かけたり、割ったりして10にするという脳トレです。例えば「1234」だったと
したら、このナンバーは全部足すことで10になるとか、「5678」ならば5から7まで
足して8を引けば10になるといった計算です。このような遊びを常にすることで有酸
素運動+知的な刺激
となり、効果的です。何より単に歩くだけよりも退屈しません。
この仕事をしていて感じることですが、シニアの方たちは毎日のルーティーンを持
っている方が多いように感じます。毎日決まった順番で同じことをやりがちです。
例えば、朝起きてラジオ体操をして、ご飯を食べて、掃除するといった感じで一日
の流れが決まっていて、毎日同じことをなさっています。

こういった同じルーティーンの生活には変化するワクワク感がないのとなにより刺激
がありません
。安定は心や体をおだやかにするのかもしれませんが、脳に対してはど
うなのかな?と考えます。ですので毎日決まったことをするのではなく、たまには
ったことを意識的に行い
、脳に刺激を与えてください。旅行に行くとか、映画を見に
行くなど、刺激になるようなことを生活の中に入れて欲しいのです。いつもと違う道
を通ることでもいいし、買い物も違う店に行くだけでも良い刺激になります。

刺激や好奇心を失わないことが大切!

私の教室では、たまにレクリエーション大会を行ったり、皆さんで散歩に行ったりし
て、教室の限られたスペースだけに収まらない活動を行うようにしています。ですが、
シニア世代になればなるほど、変化を嫌う傾向がありますので、いろいろと工夫して
います。私の教室では、特に男性の方はなかなか一人きりで参加できる方は多くあり
ません。圧倒的に女性が多くを占めます。女性の方がコミュニケーションが上手なの
かもしれないです。教室へ来た理由は奥さんが連れてきたというのが多くて、男性は
恥ずかしいのでしょうか、先ほどの自分でじゃんけんなどの遊びを嫌います。間違っ
ても恥ずかしいことじゃないから気軽に参加してくださいとお伝えしていますが、
男性の顔色を見ながら早めにそのプログラムは切り上げて、男性がやる気を示す筋ト
レ系を臨機応変に入れるようにしています。最近は認知症予防のための体操教室をや
ってくださいという依頼も増えてきていますので、本来認知症は多くの方が関心を
持っているように感じています。

刺激・意欲によって引き出される驚くべき力

刺激に関して印象的なエピソードがあるのですが、教室でレクリエーション大会を
100人ほどの参加者に介護者を含め300人の規模で行いました。その中には認知症
の方や車椅子の方もいらっしゃいました。そこであるゲームをやってもらったので
すが、ゲームとなると得点をつけますので自然と競争が起こります。すると車椅子
を使われていた方が突然自分の足で立たれたんです。介護者の方や施設の方は立っ
たところを初めてみたそうで、非常に驚かれました。ゲームによって意欲が出て普
段はまったく立とうとしないご本人自ら「立って参加する!」と言い出されて、と
ても喜ばれていました。また普段は不自由があってボールが投げられない方がゲー
ムによってボールを投げるようになったりもしました。いつもと違う環境や、競争
というのは脳の活性化に繋がるものですね。こういった驚くべき力を発揮すること
がありますので、脳への刺激はとても重要だと思い知った出来事でした。

脳の機能維持のためには血流を良くすること

こういった脳に関する奇跡の背景には血流が関係しています。血流が良くなるという
ことは全身に酸素が送られるということですから。健康診断でも血液検査によって
健康か不健康かを判断するように、血流を良くすることは非常に大事だと思います。
血流を良くするには、血を送り出す役目を担う筋肉が必要になりますので、そうい
った意味からも運動は健康にとって欠かせません。血流を良くするために特に推奨
しているのは、ふくらはぎを鍛えることです。ふくらはぎは体の下の方に位置し、
心臓から遠い位置にあります。体中に血液を巡らせるには、ふくらはぎから心臓へ、
つまり下から上へと血液を送る力が必要になってきます。実は、ふくらはぎの筋肉
がポンプとなって血液を押し上げているのです。こうした理由から、ふくらはぎは
第2の心臓」と言われています。座りっぱなしで動かないことが多いと、この
ポンプの働きが弱り、むくんだり、冷え性になったり、認知症に繋がります。
そこで、ふくらはぎの機能維持のために手軽でおすすめなのが、ふくらはぎをもむ
ことです。シンプルですがもむことでポンプ機能が活性化され、全身の血流が良く
なります。下から上へともんでいくのがベストですが、どのようなやり方でも、
もむだけで効果が期待できます。お風呂でもめば、より効果的です。水分ですべり
が良くなってもみやすくなり、水圧や温熱作用による血流改善効果もあります。
また運動をすることで、脳の神経を成長させるタンパク質が海馬(記憶を司る部分)
で多く分泌されるようになり、海馬の機能維持や肥大に効果をもたらすため認知症
予防になると考えられています。

PROFILE
NPO法人 cocofull
代表/健康運動指導士
今井 淳一 先生

体を動かすと、脳から出た指令を神経を介して
筋肉が動き、同時に筋肉から出た信号が脳に
伝わって脳を活性化します。つまり脳と筋肉は、
相互に刺激し合う重要な関係性があるのです。
運動量の少ない方より運動量の多い方のほうが
認知症の発症リスクが低いという研究結果も
あります。

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公式サイト https://www.cocorofullfull.com/

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