株式会社イオス

2026.05.07 四季養生

四季養生Vol.20 プロフェッショナル養生訓

胃腸健康の達人

宮本内科胃腸栄養クリニック 院長 宮本 彰俊 先生

テーマ「胃腸のトリセツ―健康の始まりは胃腸から」

私は、消化器内科医として胃腸を専門にしています。5年前から福岡で、今のクリニックを始めました。きっかけは、『分子栄養学』との出会いです。

アメリカのことわざで「私は私が食べたものでできている」というのがあります。まさにその通りだなと思ったんです。

それまで私は、症状に対する薬物療法というオーソドックスな西洋医学を行ってきましたが、健康における健康の大切さを改めて知り、「栄養が足りていなければ、治るものも治らない」と強く感じるようになりました。そうした想いから、今のクリニックのコンセプトが生まれました。

調はお腹からはじまる

当クリニックは、栄養を補給しながら治療していくという点が特徴の一つですが、それ以上に「なぜその症状が起こったのか」という原因を想定し、症状と同時に根本原因にアプローチしていく診療を心がけています。特に胃腸の症状は、血糖コントロールの乱れと関係しているケースが少なくありません。

クリニックに来られる方は、生活習慣病が半分、残り半分がお腹の症状(不調)です。痛み、もたれ、下痢、便秘、食欲低下など、お腹からはじまるトラブルは本当に多いです。血圧やコレステロールの異常も、腸内環境の悪化が原因の一つになっていることが多いと感じます。

栄養素の“働き”を治療に生かす

従来の栄養学は、必要なタンパク質量などマクロ栄養素中心なのに対し、分子栄養学はビタミンB群(B1、B2…)など個々の微量栄養素の体内での化学反応を重視します。食事指導に加え、一部医療用のサプリメントを用いて、栄養素が持つ医学的な働きを治療に応用します。

食事指導として、特に高齢の方には『煮込み料理』をおすすめしています。食材を小さく切って、コトコト柔らかく煮込むことがポイントです。たとえお肉が消化できなくても、スープにはアミノ酸やミネラルが溶け出しているため、栄養を効率よく吸収しやすくなります。「焼く・揚げる」といった調理法は消化に負担が大きいので、注意が必要です。

女性に多い便秘症とミトコンドリアの関係

女性に便秘が多く、男性に軟便や下痢が多い背景には、ホルモンの影響や腸内細菌バランスの違いなど、さまざまな要因が関係していると考えられています。

ただ、女性に多い慢性的な便秘は、ミトコンドリア機能の低下が背景にあるケースが少なくありません。

ミトコンドリア機能が落ちると、腸が動きにくくなります。その状態で便秘薬を服用しても、根本的な改善にはなりません。

腸そのものを元気にする必要があります。当クリニックでは栄養療法の一環として、必要に応じて安全性に配慮したマルチサプリメントなどを提案しています。処方すると、多くの方で自然に排便が整ってきます。

ミトコンドリアが十分に働いていないということは、エネルギー不足の状態ということです。便秘の女性には、痩せ型で筋肉量が少ない方も少なくありません。検査をすると、腸が全体的に弛緩して長くなっているケースもあります。

エネルギー不足になると、体は筋タンパクを分解し、アミノ酸からブドウ糖をつくって血糖値を保とうとします。その結果、内臓の筋肉も骨格筋もエネルギー補給に使われ、筋肉量が減ってしまいます。“食べているのに痩せている”という状態も、この仕組みで説明できます。摂取したエネルギーが維持や代謝に優先的に使われ、筋肉の構築に回らないのです。こうした場合には、ミトコンドリア機能を復活させるためにサプリメントを使い、体内にエネルギーの余剰をつくることが重要です。

ミトコンドリアを支える栄養素

ミトコンドリア機能を高めるために重要な栄養素として、まず挙げられるのがビタミンB群です。エネルギー産生に関わる補酵素として不可欠な存在です。その他に重要なのが、触媒となるミネラルです。特に鉄分とマグネシウムは不可欠です。亜鉛も大切です。女性は月経によって鉄分を失いやすく、男性以上にミトコンドリア機能が落ちやすいため、月経のある年代の女性では鉄不足を前提に考えるくらいでちょうどよいです。

ミトコンドリアがしっかり働き、エネルギー産生が安定すれば、体の多くの不調は改善につながります。

口と胃が腸活の出発点

特に高齢の方と若い女性にお伝えしたいのは、「胃がとても大事」ということです。多くの方が腸のケアに一生懸命取り組まれていますが、そのスタート地点である胃がうまく働いていないケースが非常に多いです。胃は、タンパク質の第一次消化を担う重要な臓器です。食べ物を少しずつ腸へ送り出す胃がきちんと動くことで、血糖値も安定します。つまり、胃が正常に働き、しっかり消化できることが、正しい腸活の大前提なのです。いくら腸によいものを摂っても、胃が十分に機能していなければ、スタート段階でつまずいてしまいます。

日本人は民族的に胃の消化力が弱く、欧米人と比べてタンパク質の消化が弱い傾向があります。そのため、「タンパク質が大事」と言って大量に摂取しても、消化できなければ十分に活かせません。「プロテインを摂っているのに、体調が改善しない」というケースも少なくありません。

腸活の第一歩は、実は口(歯)と胃です。よく噛み、胃でしっかり消化できて初めて、本当の意味での腸活が始まります。

さらにお伝えしたいのは、「内視鏡検査を受けましょう」ということです。分かっていながら先延ばしにしている方は少なくありません。実際、毎年「もっと早く受けていれば」と思われる段階で、がん等が見つかる方がいらっしゃいます。

特に大腸検査は大切です。前回から5年以上空いている方は、一度受けることを強くおすすめします。大腸がんや胃がんは、早期発見・早期対応すれば、120%確実に予防につながります。どれだけ生活習慣に気をつけていても、加齢による変化は避けられません。だからこそ、「検査を受ける」という行動が何より重要なのです。

宮本内科胃腸栄養クリニック

〒819-0167 福岡市西区今宿3丁目4-37 今宿メディカルビル1F

TEL:092-805-1380 

当クリニックは、地域に根ざしたかかりつけ医としての役割を大切にしながら、胃腸と栄養を専門とする内科クリニックとして、これからの時代に求められる医療を実践していきます。

 

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